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真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第1章 孤独な王子
一方の皇太子といえば名うての堅物で通っている。二十八になった今でさえ、浮いた話、噂になった女性の一人もいないという極めつけだ。周囲からはしきりに結婚を勧められ、三日前にも父王から呼び出され、皇太子妃候補に挙がっている令嬢六人のポートレイトを渡されたばかりだ。
その中には継母ミカエラの姪までいた。
「冗談じゃない」
トーマスは溜息と共に呟いた。ミカエラはまるで爪を隠した老獪な猫のような女だ。国王の前では淑やかで優しい女性を見事に演じているが、トーマスの前では血を分けたアーサーのゆく手を阻む邪魔者だとトーマスを敵視する姿勢を隠そうともしない。
その中には継母ミカエラの姪までいた。
「冗談じゃない」
トーマスは溜息と共に呟いた。ミカエラはまるで爪を隠した老獪な猫のような女だ。国王の前では淑やかで優しい女性を見事に演じているが、トーマスの前では血を分けたアーサーのゆく手を阻む邪魔者だとトーマスを敵視する姿勢を隠そうともしない。