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真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第1章 孤独な王子
「そんなに王位が欲しいのなら、いつでも歓んで譲るがな」
彼はまた独りごちだ。ミカエラの姪が果たして、継母のような卑劣な女かは判らない。知らないから、毛嫌いしているだけかもしれない。それは恐らく妃候補に挙がっている他の娘たちに対しても同じことだ。
二十八歳になるまで、多くの見合い話が彼に持ち込まれた。ヨーロッパの小さな国とはいえ、伝統も歴史もある王国の皇太子となれば、歓んで妃候補に名乗りを上げる名家の娘はごまんといた。また、トーマス自身が眩い金髪と輝く蒼い瞳と、これまたハリウッドのイケメン俳優張りの美男ときているから、余計に未婚女性の気を引くのだ。
彼はまた独りごちだ。ミカエラの姪が果たして、継母のような卑劣な女かは判らない。知らないから、毛嫌いしているだけかもしれない。それは恐らく妃候補に挙がっている他の娘たちに対しても同じことだ。
二十八歳になるまで、多くの見合い話が彼に持ち込まれた。ヨーロッパの小さな国とはいえ、伝統も歴史もある王国の皇太子となれば、歓んで妃候補に名乗りを上げる名家の娘はごまんといた。また、トーマス自身が眩い金髪と輝く蒼い瞳と、これまたハリウッドのイケメン俳優張りの美男ときているから、余計に未婚女性の気を引くのだ。