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真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第1章 孤独な王子
大学進学を控えた高校三年の夏休みのことだ。
こんな醜い傷を、過去を抱えた男を心から愛してくれる女など、どこを探してもいるわけがない。もっとも、エーデリンデの皇太子という立場をもってすれば、この傷も耐え難くはあるが平気なふりをしてくれようとする殊勝な女性はいるかもしれないが。
大体、彼自身がこの過去の傷痕をさらしても良いと思えるほど心許せる女性がこれから先、彼の前に現れるだろうか。
「いっそのこと、アーサーに継承権を譲っても良い」
トーマスは溜息混じりに呟き、ベッドに転がった。眼を閉じるのが怖い。また、あの夢―底なしの闇に絡め取られてしまう夢を見てしまいそうで。
こんな醜い傷を、過去を抱えた男を心から愛してくれる女など、どこを探してもいるわけがない。もっとも、エーデリンデの皇太子という立場をもってすれば、この傷も耐え難くはあるが平気なふりをしてくれようとする殊勝な女性はいるかもしれないが。
大体、彼自身がこの過去の傷痕をさらしても良いと思えるほど心許せる女性がこれから先、彼の前に現れるだろうか。
「いっそのこと、アーサーに継承権を譲っても良い」
トーマスは溜息混じりに呟き、ベッドに転がった。眼を閉じるのが怖い。また、あの夢―底なしの闇に絡め取られてしまう夢を見てしまいそうで。