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真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第1章 孤独な王子
 父国王とのよそよそしい関係、継母との腹の探り合いのような日々は、彼から生きる気力を次第に奪っていった。母が亡くなってからというもの、彼は光のない闇の中をたった一人で歩き続けていたようなものだった。


 だが、皇太子という立場にある以上、この身は自分一人の身体ではない。一度の自殺未遂の後、遅まきながらに気付いたのである。自ら死ぬことは、国と国民への責務を放棄することに他ならない。




 自分は何と浅はかなことをしようとしたのか。一時の感情で、取り返しのつかない愚かな選択をしようとした。刃物は皮膚の薄い表面を掠っただけで、傷は深くはなかった。それでも見かけは出血量が多かったため、大騒ぎになった。王立病院に運び込んだのではマスコミに何を嗅ぎつけられるか判らないので、極秘に宮殿に医師が呼ばれて皇太子の治療に当たった。
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