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真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第1章 孤独な王子
 話しながらも、彼女はトーマスの顔を見つめては軽やかに色鉛筆をすべらせてゆく。


「下書きはしないの?」

「下書きも全部、これで」


 彼女は色鉛筆を指し示した。


「変わってるでしょ、私の描き方」


「いや、それが君には合っているんだろうから」


 彼女の気を惹きたくて言ったわけではない。第一、自分は女を歓ばせたくて咄嗟に気の利いた科白を言えるような器用なタイプではない。その点、ちょっと可愛くて好みの女の子を見かければ口説く異母弟とは根本的に違う種族の男なのだ。


 心からそう思ったのが伝わったのか、彼女は破顔した。


「ありがとう」
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