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真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第1章 孤独な王子
 彼女は缶の蓋を開けた。

「ああ、邪魔になる」

 呟き、シャツの長い袖を捲り上げる。 

 腕が剥き出しになり、トーマスは思わず視線が露出した腕に釘付けになった。エーデリンデ王国の冬は長く厳しい。雪も相当降る。彼女の露わになった膚はこの国の冬に積もる雪よりもずっと白く眩しかった。


 癖毛なのか、きっちりと結わえたはずの三つ編みから所々、ぴょんぴょんと毛がはみ出ている。彼は思わず手を伸ばして、その毛に触りたい衝動に駆られた。


「あの!」

 慌てたので、つい強い口調になった。愕いたように眼を見開く彼女に、トーマスは慌てて言った。


「薔薇は深紅じゃなくて黄色は無理かな?」
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