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キスをして
第6章 間宮の逆襲
きつく抱き締められてしまい身動きが取れない。

「小塚さん?」

返事もなくただ抱き締めたまま動かない小塚さんがなんだか心配になってくる。

「私部屋に行きたいんですが」

更にきつくなる腕がちょっと苦しい。
でも心地良い温もりに包まれているのは悪くない。

「簡単に部屋に行きたいなんて言わないで下さい」

スルッと離れていった腕に寂しくなりながらいつもより冷たい言い方にドキッとする。

「軽い人だなんて思ってませんからね。それに僕にだけ軽いのは歓迎します」

またそういう事を言う。
そんな風に言われたら流されても良いかと思ってしまう。

車庫から案内された扉を開くと玄関ホールで私が勝手に裏口に行くドアだと思っていたのは玄関だったらしい。

階段を先に昇るように促され寝室へ向かう。
私に選択肢をくれたのかもしれない。
リビングへ行けば小塚さんは何もなかったように笑ってお茶を淹れてくれるだろう。それでも私はさっき自分で言った言葉を取り消す気はない。

もうあの温もりを知っている。
徐々に薄れていってしまう熱も再び熱を与えられれば反応してしまう。

部屋に入ると右腕を掴まれ引き上げるように身体を密着させ引き寄せられた腰に小塚さんの熱が当たる。
いつもみたいな余裕は全くない小塚さんに煽られていく。
頬に触れる手は唇をなぞるのに唇に息が触れるほどに近付いても唇に私が望む物が触れることはない。

キスなんてしてくれる気もないクセに切なげに睫毛を揺らしながら熱い息を漏らして期待だけさせる仕草はイジワルだ。
引き上げられたせいで爪先立ちになった身体を支えようと小塚さんの首に腕を回すと身体が軽くなってベッドに降ろされる。
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