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第26章 真と遼太

遼太は、急に彩香に近づき、

ボソッと何かを囁いた。

「？何？よく聞き取れませんでした？」

今度は、大きな声で

「何が『遼太さん』だよ！」

ひきつった顔で睨み付けてくる遼太に、

彩香は、ビクッとした。

「俺達は、『彩ちゃん』『遼ちゃん』って

呼び合う仲だろ？俺達はいつも

一緒だったじゃないか？

この男が悪いのか？何唆された？」

だんだん近づいてくる遼太に、

恐れを感じ、後ろに下がったけど、

遼太の動きの方が素早くて、

腕を捕まれ、抱き締められた！

彩香は、背筋が凍り、ガタガタと震え出した。

声を振り絞り「放して！触らないで！」

彩香が、言うのと同時に、

真が、遼太に飛びかかろうとした。

その時、おじ様が遼太を彩香から引放し

平手打ちにした。

「この馬鹿息子！どこまで性根が腐ってるんだ！

彩香ちゃんに触るな！お父さんが許さない！

彩香ちゃん、藤堂さん、

本当に申し訳ございません。」

ガタガタ ガタガタ震える彩香を

怖がらせないように、強く！強く！抱き締めて、

「彩香、ごめん！油断した！」

彩香は、首を横に振って

「ううん、ありがとう。真」