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あんなこんなエロ短編集
第21章 裏のかお
ーーーーー人間は、



ショックすぎる体験をするとつかの間記憶を失う




ことがある。




自己防衛が働くのだ。





冴子はぼんやりそんな事を思い出した。





暗い道を歩きながら……………




コツ、コツ、コツ…………




自分のパンプスの音がゆっくりだ。




脚の付け根がひりひりする。




背後からか細い声がした。




「…………先生……………本当に………




ごめんなさい………………………」





声。男子の声。




ああ、伊東雪途………………




冴子は虚ろな目で振り返った。




「……………伊東くん…………



いいの、あなたのせいじゃない……………」




自分が悪いんだ。




生徒の親と交際したりするからーーーーー





男に押し倒された後の記憶が無い。




あったのは雪途の細い裸体の映像だけだ。




「………っ、




先生!!」




雪途が駆け寄り、




冴子にしがみつく。




「ごめんなさい!!




ごめんなさい、もうあんな場所に行かないから!




ごめんなさい!」





雪途が泣き出す。




それに触発されたように、




冴子の目からも涙が流れた。




「うっ………………




ううっ……………」





ピルルル………♬
ピルルル………♬




鞄の中の携帯電話が鳴る。




雪文かもしれない。



しかし、罪悪感と虚無感から鞄を開くことも出来ず雪途を包むようにし泣き続けた…………………………………………
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