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あんなこんなエロ短編集
第1章 夏のはじまり
「由麻っていつも元気だよな~」



ひょっこり現れたのは、



深瀬だ。



「はっ?



何よ、元気じゃいけないってわけ」




「ちゃうちゃう。



ホイ奈那、忘れ物」





深瀬がペンを渡してきた。



「あー!無いと思ってたら忘れてたんだ?」



私のお気に入りキャラ・ふにゃ吉くんのボー


ルペン。



「ありがとー」



私の言葉に深瀬はくしゃっと笑い、



「何か奢れ笑」と言って去っていった。




「あんたらさぁ、仲いいよねー」



由麻が冷やかす。




「ん?由麻だって仲いいじゃん」




「仲いいけどさー。



年上だからさ、ウチは。



女友達も大人だし…………」




そこから数分、



由麻の愚痴を聞く。











「おーい、お前ら今年受験なの分かってんのかー」




扉がガラガラ開き、




数学の久野(くの)が姿を現した。




ドキッとする。



久野は数学教師のくせに体育会系で、やたら声が


大きい。



名前も久野慈英(じえい)といって、



お坊さんみたい。



「俺調理専門だもん」



「あたし推薦だし」




「うるさい外野ー。



大学本命受験するやつもいるんだから、もうちょ



っと締まり入れなさい。進学クラスだろ。



はーい、ページ131」



ガタンゴトンと皆着席する。



きーんこーんか~んこーん。



間延びしたようなチャイムが鳴った。



「ん?



何だ?橋本(はしもと)。」



「へ?」



急に名指しされ、焦る。



「何かじーっと見てるから………。



夏ボケにはまだ早いぞ」



皆がクスクス笑う。



「何だよ夏ボケって。」



「橋本がんばれー。」




私はクラスメイトたちの声に頬がカーッと熱くなった。



久野の右手を見つめていたのが、



バレたのかと思って。











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