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第2章 ついで

「…………ダメだ。


痒い」



茜（あかね)はガックリと項垂れた。




自宅アパートの玄関を入って、パンプスを脱ぐ。




この瞬間が一番落ち着く。




仕事から解放されて、一人の部屋で休めるのだ。





しかし今日は問題があった。





鏡の前に立ち、制服であるスーツを一枚一枚剥いでいく。




ストッキングとシャツ姿は滑稽だ。



芸人みたい。




ストッキングも脱ぐ。




「蒸してるからー？


何でなのー」





朝、出勤した時は痒くなかったのに。






部屋着を着、髪を解いた。





テーブルの前に座り、




パソコンを立ち上げると『股　　痒い』で検察する。




そう、今日の問題とは………




お股が異様に痒いのだ。





彼氏でもいれば性病あたりを疑うかもしれない。




しかしこの井崎茜（いさきあかね)、




大学の時に交際して以来五年間ずっとご無沙汰。





変な病気ではないはずなのだ。