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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第35章 兄を見過ごすワケにはいかない

「ここじゃなんだからちょっと店でも入って話をしようぜ」

ニヤけたその顔は何か企んでいそうな感じじだ。

仕方なしにオレは兄と一緒に近くにあるコーヒーショップに入った。

「お前金持ってるか?」

唐突に兄がカウンターでオレに聞いてきた。

「オレさっきの店で金使い果たしたからここの金払ってくれよ」

どこまで図々しいヤツなんだ。
オレはコイツに1番安いブレンドのコーヒーの代金を払った。

そしてほとんど客のいない喫煙席に座り、ポケットからタバコを取り出し火を点けながらプハーっと煙を吐き出した。

オレはタバコなんて吸わないからこんな席から早く立ち去りたい。

兄はトントンとタバコの灰を灰皿に入れながら鴨志田の事を聞いてきた。

「お前、あの女と知り合いか?」

「別に、人違いだろう」

「何か隠してねえか?」

「何もねえよ」

コーヒーをぐいっと飲みながら兄は今度は父親のマンションの事を聞いてきた。

「お前、オヤジのマンション売っ払ったらしいじゃねえか。その金どこにあるんだよ」

コイツ、父親の保険金やら遺族年金等いっぱい貰っておきながらまだ金が必要なのか。

「お前、その売った金はどこにある?」

「知らねえよ、後の事はオフクロに頼んだよ」

「お前、何勝手に売ってんだよ?あのマンションの持ち主はオヤジが亡くなった時、オレの所有になってんだよ。どこに隠した、金は?」
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