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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第71章 精算

「この件ばかりは私でもどうにもならない。海外といってもどこに連れていかれたのか。
残念ながら、私はそこまでの力がない…
これが国内だというのであれば何とか探し出せる可能性はあるんだが…」

無理もない。
沢渡は裏の世界にも精通している人物だが、海外に飛ばされたとなると、裏の力を持ってしても、探す事は不可能だ。

「…やっぱり無理ですか?」

「亮輔くん、すまない。こればかりは私でも無理なんだ、許してくれ」

沢渡は亮輔に向かい、頭を下げた。

「そうですよね。いくら何でも世界中を回って探し出すなんて無理ですよね。
沢渡さん無理を言ってすみません」

亮輔も深々と頭を下げた。

「その代わりと言っては何だが」

沢渡が話を切り出した。

「何ですか?」

「君の生活をバックアップさせてもらえないだろうか?当面の生活費は勿論、学校を卒業したらウチの会社に就職させてあげよう。君の事は援助する、それで納得してもらえないだろうか?」

…面倒を見てもらう。
この言葉に何時騙された事か。

亮輔は心に秘めた思いがある。
それは、もう誰も信じない、もう誰も愛さない、と。

それにあの会社は今の亮輔にとっては、忌まわしいものでしかない。

イヤな思いしかしない会社など、入るつもりはない。

亮輔はこの申し出を断った。

「せっかくですが…僕は兄と違って、あの会社に入って、社長になってやろうなんて気持ちは全くありません。
それにあの会社の事は忘れたいんです、今は」

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