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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第16章 金の亡者、種違いの兄
「オレはハナっから遺産なんて貰うつもりはありません。ただ、1つお願いしたいのは、あのマンションだけは残してもらえないでしょうか?」

オレは兄に頭を下げた。

兄もオレが遺産を貰わないというのなら別に問題ないだろうというような表情をして

「あぁ、わかった。あのマンションは残してやる。ただこれだけは忘れるな。オレとお前は兄弟だが、外でオレに会っても軽々しく話かけるな。それが条件だ。いいな?」

兄はオレを弟として認めないという事か。

オレもこんな金の事しか考えられない男を兄として認めたくない。

「わかりました。その通りにします」

ホントなら1発ぶん殴ってやろうかと思った。

何なんだ、このやるせなさは。オレに救いの手を差しのべた父親はもうこの世にはいない。

オレは母親に父親が亡くなった事を伝えようとかと考えた。
だが、後々面倒なことになるのはゴメンだと思い、連絡はしなかった。


父親の葬儀が終わり、遺骨はオレが預かる形で生まれ故郷の先祖代々が眠る墓に納骨した。

これからは本当に一人で生きていかなければならない。

多少の蓄えはあるが、学費を払い、光熱費や食費等を考えたらバイトをするしかない。幸いマンションは分譲で、ローンは払い終わった為、家賃の心配はない。
だが、それを差し引いても、働いて金を手にするしかない。

オレはアルバイトをしようと求人雑誌を見て、なるべく時給の良いアルバイトを探した。
だが、高校生のアルバイトの時給じゃたかが知れてる。ましてやオレは15才、夜10時以降は働けない。

散々迷い、時給は高くないが、学校の近くのファストフード店でバイトをする事にした。

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