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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第88章 女オーナー
「どうぞこちらへ」

丁寧な対応に、オレは萎縮してしまった。
もっとヤクザらしい、殺伐とした雰囲気で、いかついヤツがいるものだと思っていたが、まるで正反対だ。

「沢渡さんから話は聞いてます。古賀亮輔さん16才。間違えありませんか?」

「はい、そうです」

爽やかな笑みを浮かべたイケメンは年下のオレにまるでお客様の様な扱いをしてくれる。

「では何か身分を証明できるのはこざいますか?」

「えっと、保険証でも大丈夫ですか?」

「えぇ、勿論結構ですよ」

オレは財布に入れていた保険証を見せた。

「はい、結構です」

保険証をチェックして本人だという確認をしたのだろうか。

「少々お待ちいただけますか?今オーナーが別の部屋にいますので、ここからはオーナーとお話しして下さい」

イケメンはリビングから別の部屋へ移り、オーナーが出てくるのを待った。

オーナーってやっぱりヤクザだよな…

いや、ヤクザだろうが何だろうが、オレはここしかないんだ!

するとドアが開き、身なりは身体のラインを強調したVネックのニットに、タイトで短めな黒のスカートを履いた女性が現れた。

どこか妖艶でフェロモン漂う40代前半ぐらいの女性だろうか。

髪は茶髪のセミロングで毛先がカールしており、顔はキリッとした瞳に薄い唇、和風な顔立ちで、どことなく母親と似ているように思えた。

「ようこそ」

オーナーらしき女性は右手を差し出した。
握手のつもりだろう。

オレも右手を差し出し、手を握り返した。

「…うん、合格。貴方は指名が多くとれそうね。頑張ってちょうだい」

はっ?握手しただけで合格?何、何なんだ?

「私はまず最初に握手をするの。そして相手の手の握り方でその人がどんな人物か解るの。
貴方はソフトで繊細に握ってきたから、女性の扱いが上手そうだと思ったから合格と言ったの。フフッ、貴方まだ若いのにかなりの女性を相手にしてきたでしょう?」

色っぽく笑みを浮かべ、オレの事を1発で見抜いた。

何者だ、この人は?
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