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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第89章 商品として

書かれている事はさっき女オーナーが言っていた事と同じ内容だ。

怪しい点はどこにも記載されてない。

オレは契約書にサインして、印鑑を押した。

これでとうとうオレもレンタル商品になってしまったのか。

あれだけ忌み嫌っていた商売をやるハメになるとは。

「これで契約成立ね。亮輔くん、これから頑張ってちょうだい、期待してるわよ」

女オーナーはまた右手を差し出した。

オレもそれに応じ、右手を出し握手した。

(痛っ、なんだこの握力は?)

先程のソフトな握力と違い、女とは思えない程の握力で右手を握られた。

「驚いた?これでも昔、アームレスリングやってたの。結構いい大会にも出てたの。フフフッ痛かったでしょ?」

このフェロモン漂うセクシーなボディラインからは想像出来ない力だ。

「さて、亮輔くん、早速だけど仕事にとりかかってもらうわ。
レンタル期間は1週間、さっきも言ったけど、貴方の取り分は42万、いいかしら?」

「はい、で、どんな相手の方なんですか?」

早速、金をもて余した大企業の社長の奥さん辺りを相手にするものだと思っていた。


「悪いわね、相手の事は事前に知らせる事は出来ないの。これは規則だからね。契約書にも書いてあったでしょ?」

契約書にそんな項目なんてあったか?
オレの見落としだったか、それとも契約書を上手く細工したのか…

でもそんな事は言ってられない、サインしたのはオレ自身なのだから。

「今日の夕方から、1週間後の夕方までお客様と一緒に過ごすの。そして1日に一回は必ずここに連絡してちょうだい。
この日はこんな事があったとか報告をするのよ、解った?」

「はい…」

一体どんな相手なのだろうか?

大金を得られるという気分よりも、相手が誰なのか解らないという不安がオレの頭を駆け巡っていた。
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