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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第117章 仕事そっちのけでケンカ
会社の作業着だかユニフォームみたいなストライプの上下に帽子を被ったソイツは今オレが自販機の前に立っていると、作業の妨げになるらしい。

「あぁ、悪い悪い」

オレはその場から移り、また補充している様子を見ていた。

よくある日常的な光景だが、オレにはどういうワケか新鮮に見えた。

運転しながら、各自販機の中の飲み物を補充する。
免許はあるからオレでも出来る仕事かもしれない。

思いきって補充してるヤツに聞いてみた。

「あの、今ってその仕事募集してるのかな?」

「はぁっ?」

明らかに不機嫌そうな表情でオレを見た。
背はオレと大して変わらない。
顔は少しヤンキーっぽく、眉毛が細く、一重瞼で帽子を被っているが、金髪を覗かせていた。

「いや、実は今仕事を探してて、その様子を見ていたら、オレもこの仕事してみたいなぁって思って。募集してるかな?」

「…お宅何歳?」

ぶっきらぼうなヤツだ。

「23だけど」

「…オレと同じか。仕事募集してるかどうか知らないけど、車に会社の名前と番号載ってるから直接電話してみたら?」

そのヤンキーの側にある軽のバンに書いてある社名と連絡先を見て電話してみた。

「あ、もしもし。あの、そちらって人募集してます?えぇ、はい今仕事を探してるんですけど…はい、今23才です。そうです、はい。
あ、面接ですか?明日でもいつでも大丈夫です。そうですか、じゃあ、よろしくお願いします」

勢いで電話してみたら、明日面接に来てくれと言われた。

「今電話したら、明日面接にきてくれって言われたよ」

オレは補充を続けてるアンちゃんの後ろで声を掛けた。

「あ、そう。言っとくけど、この仕事楽じゃないよ。それでもいいなら明日面接に行けば」

「随分とイヤな言い方するな。もしかしたら一緒に仕事するようになるかもしれないだろ。どんな仕事なのか少しでも作業してるの見てても邪魔になんないだろ?」

この言葉がどうやらこのアンちゃんをキレさせたらしい。

「ガタガタうるせぇヤツだな、おいっ!何なんだテメーは?仕事の邪魔だっつってんだろ、コラァ!」

「あぁ?様子見て何が悪いんだ、おい?何キレてんだ、おい!」

オレたちは自販機の扉を開けっ放しにしたまま、掴み合いのケンカを始めた。
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