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囚われの城
第7章 ―――ミカンの見た世界


電車に乗って北へ二駅、乗り換えて終点まで。

そこからバスを使い、一駅ずつ乗り換えを繰り返す。

小さな駅で降りると、黒いワンボックスが停まっていた。

その車に乗ると、目隠しをされた。

そして、両手を背中で縛られた。

耳には大音量のヘッドホン。

近くに誰がいるのかもわからない状況のまま、車でやけに長い時間移動した。


孤独だった。

息をするのも窮屈なくらい、苦しいドライブだった。


「メイドは地下へ。あんたは二階だ」

「まず契約書を」


ヘッドホンの大音量が突然止まり静かになった車内で、聞いたことのない太い男の声がした。

私たちは目隠しをされたまま、引きずられるようにどこかに連れて行かれた。

冷たい空気になったなと思った瞬間、目隠しを外された。

コンクリートで囲まれた部屋、血の染みのついた禍々しい器具の数々。

そして、生々しい匂い。


「服を脱いでそれぞれ椅子に座って待て」

「かしこまりました」


この瞬間、私たちは性奴隷としての任務が確定した。

ここに来るまでかすかな希望を抱いていた。

優秀なメイドとして、性的な行為を求めない仕事を要求されることもあると聞いていたから。

でも、出張の大半は性奴隷としての仕事になる。

確率というのは嘘をつかないな。


低い声の男がコンクリートで囲まれた部屋を出ると、私たちは無言で服を脱ぎ、椅子に座った。

椅子もコンクリート造りで、ひじ掛けの部分にわっかがついてる。

ここに手を繋がれることは容易に想像できた。

真四角の部屋に中心を向いた椅子が5つ。

しんと静まり返った部屋で、私たちはただ、期間限定の主の登場を待っていた。



「ミカン、ご主人様がいらしたら、立ち上がって深く頭を下げてね」

「はい」

「いい?屋敷で学んだことをここで100%活かすのよ。ここまでは黎明様の目も届かない」


先輩メイドは、声が震えるのを必死で隠しているようにも見えた。

22歳で屋敷でトップクラスにいる美人。

この人は、ユイさん。


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