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第15章 託された思い
『なぁ…グスッ・・・アイル?
もうひとつ…きいてもいいか?』


『んっ…ぶっ…くるし…なぁに?』



『もう一回…アイルの夢だったこと
やり直す気ないのかな?

その…じいちゃんの病院…
じいちゃんの意思を継いだアイルがさ

夢だったことを…』


『……ん』



『アイルがその気にさえなれば
学校だってちゃんと行き直して…

何だって叶えられるよ
ソウタさんも理解してくれるだろうし

オレだって応援する』



『病院ね…
おじいちゃんがいなくなってから

パパ・・・お父さんが
大きく変えちゃったんだ

外から人を雇って

おじいちゃんのお弟子さんたちは
のこってくれたけど…

お父さん
経営学に長けてたから

変えたのは…
大きさだけじゃなくて…方針も

まぁ経営としては正しいのかもだけど

おじいちゃんの守ってきた…人の
人と人とのあったかさが…なくなってた
…さみしかった』


『そ…うなんだ』


『あぁっ…でもね
それだけじゃなくて

細かいこと抜きにしても
あたし自身が~その

…そゆ形じゃなくてもイイかなって
今は思ってるからかな…』


『…っていうと』


『ぅんと…ぇと…それにね
おじいちゃんの意思を継いでる人なら
・・・もういるし』


『その…お弟子さんて人か誰かか?もしかして』







アイルがチラリとオレをみて微笑んだ










『ふふっ…リョウキもよく知ってるでしょ?』


……。

……?




『?……。あ…』

『んふふふっ…』



アイルが思わず口元を押さえて笑う

オレはパズルのピースが
ピタピタっとはまっていくように
今までの色々を振り返った


ソウタさんとアイルが…時々どこか
似てるって思うことがあったのを思い出す

最も納得のいく理由によって


いつか
ソウタさんからアイルの生い立ちとして
少し聞いた話だったけど
こんなに奥深い話があったなんて

ちなみにもう一人…
おじいさんの病院にいたスタッフが
マナさんだそう

一人の…人情深い獣医の織り成した絆が
今…オレの目の見えるところで
残された者達に、より強い絆となって
受け継がれている

そんな光景がオレには眩しくてたまらなかった
キレイなキレイな…一点のくもりもない

人と人との〃絆〃

偉大な人から


託された想いが……
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