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第15章 託された思い

『お父さんとお母さんも…
一緒にいないことで

…私ともいないことで
自分の人生を楽しく生きられるなら
その方が私も幸せ

私の…両親だから

嫌な思いや辛い思いしてるより
幸せでいてほしいもん

それに二人共
私のやったことですごく…
大変な思いだってしたﾊｽﾞだから

仕事が好きなら頑張って
恋愛したいなら楽しんで…って

それに、それまでも私は
何不自由なく育ってきた訳だから…

二人には
感謝しないってうのも…
やっぱり違うかな

元より二人がいなきゃ
私は…今ここに居ないわけだし

…お家にあまり居場所はなかったけど
恨む気持ちは一片もないなぁ…

別に会いたいとも思わないし
元気でいてくれれば…それでいいかな』





…それを聞いただけでも
赤の他人のオレからすれば
〃サイテーな親〃だ




…勝手な親だ





子は親を・・・選べない


それなのにアイルは


アイルって子は・・・






『それにね…あたし…やっぱり

意味のないことは
ないのかなぁって思ってるし

…そう・・・信じたいの

何のために
こんな苦しい思いをするの？って
いっぱい思ったけど

あぁ…このために
ここに辿り着くためだったんだぁ…って
思えたりね

そうすると人って…案外幸せが多いの

あと、私は…立ち直るために
助けてくれる人が
たまたま現れてくれたから

・・・ﾗｯｷｰだっただけ

ソウタさんに…色んな人たち…そして
リョウキが・・・』





『アイル…』





『だって今、こうして
リョウキといられるのが幸せだから…

すごく感謝してる

だから…自分の辿った道も、運命も…
後悔したことはないし

誰のことも、恨んでない…
・・・本当よ？』






『……』








『私には沢山恩返ししたい人がいるから…

人を…恨むよりは
人を大切に想うｷﾓﾁに

力を全部使いたいんだ・・・んっ…』





オレはアイルに
泣き顔を見られたくなくて
アイルを胸に抱えて抱きしめた



涙が止まらない



人から見たら
耐え難いような生い立ちや経験を
一片の恨み言も言わずに…




清くて・・・大きな心で





こんな風に言える人間が…
一体 世の中にどれだけいるだろう？