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第21章 明日への手紙
仕事帰りのアイルが
帰路とは別の方向に足を進める


電車を乗り継いで…ビル街の
マンションの一室へ・・・





ガチャ…





アイルが
テナントのドアをあけて中に入る






『~?…アナタ…』



『……』




ネイルサロンで片付けをしているレナに
アイルが一礼する






『…?~…受付時間
もう過ぎてるんだけどな?

…ま、いいわ~…座って?
サービスしたげる

お友達にでも宣伝しておいてよ♪』






『…いいえ、結構です』







『~…なら何の用?バカみたいな話なら
もう聞かないよ?あたしはべつに~…』





『レナさん・・・私…』




カチッ…カチッ…





レナがライターを触る音が響く。





『レナさん…私は…

リョウキには・・・もう…

もう…二度と会いません…』





『……。』






『ひとつだけ…お願いがあります…

リョウキを・・・
彼を傷つけたり…しないで…

もう…ひどい事を言ったりしないで下さい…

彼にだって・・・
心に…一人抱えてる痛みだってあるはずです

…弱い所だってあるはずです』





『アン…タ…』





『…リョウキは…本当に
やさしくて つよい…

心のあたたかい人・・・

それが今の…本当のリョウキです

大きい体して…意外と涙もろくて
情深くて

あったかくて・・・やさしい
人の痛みのわかる人…だから。

だから…リョウキなら…きっと…
レナさんを・・・・・・だから…』






カチ…ッ…カチ…ンッ…。





一見、無表情に
淡々としてみえるアイルに

どこか、のまれるように
レナが無言で手を動かしていた






『レナさん……

元気な赤ちゃんを産んで…

リョウキと・・・幸せになって下さい』






声を震わせながら言い終えたアイルが

またレナに一礼して

すぐに出て行った。
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