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第21章 明日への手紙
オレは…

生きてるのか死んでるのかも

よくわからない感覚で

毎日を過ごしていた。





オレの周りは…何も変わらない


フツウの毎日だ




同じ部屋…同じ会社…

同僚の声…同じ道

毎日同じ事を繰り返している




それは…まるでロボットみたいに

オレ一人だけ…時が止まったみたいに





変わらない毎日に

ひとつだけ変わったのは…





〃アイルがいない〃こと…だけだ。






あれから何日経ったんだ?




アイルの匂いも…

ぬくもりも・・・笑顔も




くっきりと

はっきりと思い出せる…







だけどアイルだけがここにいない。








手をのばしてもそこにはいない

名前を呼んでも応えない



一人の・・・部屋。





仕事から帰って
不意にポストをあけると


一通の…手紙?


封筒が入っていた






ポストの奥に・・・深々と




手に取るが
あて先も差出人もなにもない


そして少しの重み…

中身は…紙…じゃない


チャリ…っと微かに音がした


開封するも

手紙も…ただの一文字さえもない



中から出てきたのは
オレの部屋の合鍵

丁寧に包まれて姿を現した




差出人は一人しかいない

アイルに渡した鍵だった




『……』



…これが

アイルの…ブレない気持ちだ、と

現実をまた突きつけられる




しばらく鍵を…封筒をみつめた


『・・・』



一言の、言葉も

一文字もない

アイルからの無言のメッセージの入った手紙




オレにも…やらなきゃならない事は山程ある

しっかりと

現実を受け止めなければならない…



…もうこれ以上…みっともない事は出来ない

オレを…想って去った

アイルのためにも



オレにも…オレには

ケジメをつけなければならないことがある


まずは…











オレは…会ってもらえない事は百も承知で
ソウタさんに電話した


受け入れてもらえない事は勿論だが…
ちゃんとオレの口から説明して
…ちゃんと挨拶したかった


このまま何も言わずに…なんてない話だし

アイルなら…絶対にそんな事はしないだろう

などと思いながら、電話する…




出てくれるまで



かけ続けよう。
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