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第27章 嫉妬
アイルがまた…ギクっとした

まばたきが速くなって
オレから目を反らす




『・・・カイトが…言ったの…?』



アイルがポツリとオレに問う


『…今、そんな話してるんじゃないよ。

あの…男の・・・お客さん?』


『・・・』

アイルは黙っていることで肯定していた

オレは深いため息をもらす


『…何があった?一体・・・いつから』

『……』

下を向いて
だんまりを決め込むアイルを…じっと待つ

可哀想だけど
知らん顔できることじゃなかったから

アイルがオレと目を合わせないまま…
重い口を開く






『…はじめは…気のせいかなって
思ってたけど…』

『うん…』

アイルが辛そうに
下を向いて話すのが痛ましい

だけど問い詰めたのはオレだ


そして…やはり
ずっとそうだったのか…





『おかしいなって…思ったときには…』


『…うん』


『…へんなこと…言われたり
オシリ…触られたり・・・胸を……ひっく…』


アイルの目に涙が滲んでいた

オレはそっとアイルの頭に手をのせる



『ハァ・・・~アイル?
ずっと…ひとりで我慢してたのか?』


『っく…グス…仕事だし
無視してればそのうち
やめてくれるかなって…思ってた』



…やめるどころか
エスカレートしてたんじゃないか

まったく、ひどい話だ
怒りが増していく

『~アイル…
確かに仕事は我慢も沢山あるし必要だよ

理不尽なこともあれば
ぐっと耐えることも大切なことだ…。

だけど…何でも
ただ我慢すればいいんじゃないだろ?
間違ってるものは間違ってるぜ…?』



『…だけど…私』


『アイル…?
アイルの仕事は…多くのお客さんを

何より、毎日大切に育ててる動物達を
幸せにすることじゃないのか…?

おかしな客の…変な欲を
満たすことじゃないだろう?』


『~~~っ…。ぅん…』



アイルの目からポロポロと涙がこぼれる


オレは黙ってアイルの頭を撫でて
話を続けた



『…ソウタさんか
もしくはマナさんに相談しなかったのか?』




『っひっく…グスっ…言えないよ
狭いから…ぶつかった、とか

わざとじゃないって…謝られたら
何も…言えないよ』



…呆れた。

あの男、確信犯じゃないか…
汚い手を使って、許せない

アイルが本当に気の毒だった
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