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第32章 最高の名前
アイルは
そんな…子供みたいな事を言う子じゃ…

ましてや
そんな真面目な話をしている時に

ふざけたり
駄々こねたりする子じゃない。



周知の事・・・


それがわかっているからオレは余計に
…すっかり頭を抱えてしまっていた。




そしてそれは
ソウタさんも同じ。







『フゥ~…明るい
めでたい話なんだからナァ…。

そう~…暗い方にもってくワケにゃ…
いかねぇよなぁ…こりゃぁよォ…』





『普通に考えたら…アイルのご両親に

挨拶も何も…しないって訳には

いかないじゃないですか』





『そりゃリョウキ

オマエの言う通りだぁ・・・?』







ソウタさんはアイルの親同然…
確かにそうだ。



だけど…正式には親ではない。




亡くなったんじゃないんだ。
実際、アイルの両親は生きていて


未だアイルを

娘として認識している・・・はず

なのだから…。





何年も会わずに
疎遠であったとしても


例え、〃娘を捨てた〃と言おうとも



こちら側から…

少なくとも

オレの方から

スルーしては通れない。






『ソウタさんは……』




『…俺ぁ、もちろん…

二人とも所在も知ってるさ。連絡もつく。

トーゼンよ・・・』






『……アイル・・・は?』



『・・・。…知ってるさ

所在も、連絡先も…俺から教えてある。

ぁ~、ただの一度も…

連絡した様子はねーがな…。

・・・〃お互い〃に。』





ズキ・・・。

オレの心が痛くなった

なんだか悲しい…その事実に。



『5年も6年も

連絡ひとつないっていうんですか?』


『……。』



親って…そういうモンなのか?

ホントに、そんな親っているのか?

確かにアイルは過ちを犯したかもしれない

だけど……自分たちの娘なんだろ?

立ち直ろうという時に手も差しのべず



何年も……会いにも来ず

手紙の一通もよこさず…

電話一本……メール一通しないっていうのか?





アイルの立場になって考えろ…。

オレが・・・アイルなら






……



………




そんな……親には…








会いたく・・・・・ない



かも…しれない。







あるいは、もっと…深い




根深い……なにかが…。
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