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第32章 最高の名前
【フツーの母親】




『カツラギくん…。あの子のこと…

これまで本当に、どうもありがとう』




アイルの母親が深く…ソウタさんに頭を下げる。




『あなたには…本当に感謝してもしきれないわ。

…長いこと大変なご迷惑をかけてしまったわね。

ご免なさい』





ソウタさんが少し驚いた表情をみせた。





『いえ…そんなことは。

それに…アヤメさん?
これまで…頑張ってきたのは

アイル自身なんですから』




ソウタさんの言葉に軽く頷いて
お母さんはオレの方に向き直る。


〃あ……〃





『あの…改めまして…

本日はありがとうございます。

本来なら、僕の方から伺うべきものを…

このように、ご足労いただいてしまい…』





『ふふ…それは本当に良いのよ。

お気になさらないで?』






『大変お忙しいと伺ってましたので…。

お仕事の…帰りだったんですか?』




オレは先ほどの
大きなスーツケースに目を向けて
それとなく聞いてみる。




『えぇ…仕事柄

出張も多いものですから。

今日は、京都から…』






『京都ですか…。

一度行ったことがありますが

良いところですよね』







……とりあえず…感じてること。





なんだ…



ごくフツーの…お母さんじゃないか?




むしろ常識的な…。






この母娘の過去は置いといて…。




目の前にいるのは

ごくごく普通の母親。




あ……



ぶっちゃけ、美人の・・・ね(笑)
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