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第32章 最高の名前

『アイル････？』



じっとアイルを見つめる母親



余計に答えられなくなってそうなアイル。



…それでも





『マ……お母さんの気持ち

すごく・・・嬉しい

有り難いって思う

だけど・・・・・どうして？』





『あなたが心配だから…と

言ったでしょう・・・？』





『えと…そうじゃなくて、その…急に』






『アナタが言ったからでしょ？

ついさっき・・・。

お母さんの手伝いがしたいって。

一番簡単な事･･･提案しただけでしょ』







『ぁ･･････それ････は』








そう・・・来るか？フツー・・・。




なんか…ホント



恐ろしいぜ？この人。






『ふふっ・・・それとも何？

ただ口から出任せ言ったの？』




『ちっ…ちがうよ!?

ホントにそれは違うよ

ママ・・・私…』






『まぁ、いいわ。

所詮アナタじゃね…。

この話はなかったことにするわ』





『･････』




アイルのお母さんが不適に笑った。






ホ･････。




オレは心の中で一瞬、息をつく。





機転の良さ？…行動力…？


それって


こんな所にまで作用するのかよ！？




思わずにはいられない。



おそろしいぜ・・・この女性(ひと)。




よりによって、こんな日に

こんな場所で…わが道を行く？




そしてオレは否応なしに感じ始めていた。





いや・・・結構前から




心の奥……隅っこで


肌で感じていた


一抹の・・・イヤな予感(ﾓﾉ)。







言い表せなかったイヤな予感。




そして…オレでも感じると言うことは



当然・・・





ソウタさんは…最初から


おそらく・・・ずっと？





見たこともない程

緊張でガタガタのソウタさんは

何かを恐れていた・・・？





そう考えると納得する。





…オレでも感じる不穏な気配。





ソウタさんが心配してたコト…


おそらく・・・恐れていたコト。






まさかな・・・とは、思うが















この母親(ひと)…











アイルを



連れ戻しに来たんじゃ・・・ないだろうな？