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第32章 最高の名前
『今回アナタに会うって事、話したら
とても喜んでくれてね』



『そ…そうなんだ』



『一度…会ってみない?アイル』


『…うん。ママの
お世話になってる人なら…私も挨拶は…』



『この後
仕事で会うのよ。一緒に来ない?』




なんか


なんだろう・・・コレ



理由はわからないが
何故か背中を汗が伝い

ソウタさんを見ると



汗だくで……青ざめていた






『え・・・今日?…これから……?』

『ふふ、ソレ…中々よく似合ってるわよ?』



お母さんが振り袖姿のアイルを改めて見回す


『……』

『ミカミさん…アイルの事
気に入って下さると思うわ…』





なんか…



なんだよ……?




何を・・・




まるで…





『とても頭も良くて
大きな会社をやってる方よ

カツラギさんより…~あ、お母さんより
もっと…少し年上の方だけど

若々しくて・・・素敵な方よ』







……。




なんとも、異様な空気が漂う





何を・・・何が言いたい?




それって・・・まるで






青ざめたソウタさんと
時折目を合わせていたオレは

アイルの母親の放つオーラのようなものに
見事に硬直していた


そんなオレに…オレやソウタさんに代わり




『・・・フゥ』




・・・隣に座るアイルが

小さく…オレにしかわからないくらい

微かに…息をついた





〃アイル…?〃




そして…ほんのわずかに





遠くを見るようにアイルが微かに笑った



微かに…

〃フッ〃…っと笑って顔を上げ

母親の方をみている




何かをさとって

全て察して…なにか…あきらめた

とでも言うような

力ない…なんとも悲しそうな笑顔で・・・














『ママ・・・その人と

私が…結婚・・・とかしたら

ママのお仕事もっと上手くいくの?』














え……。












『それが…ママの一番喜ぶこと…?

私が …… …… ……

~〃私でも〃・・・役に立てること?』










なん…だよ……ソレ…?










『だから…ママ

今日・・・。

このお着物・・・そのために…』














何・・・言ってる・・・。
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