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第32章 最高の名前

一喝しようとしたソウタさんを

あっさり遮断して

アイルの方に向き直る母親




『アイル？…悪いこと言わないわ

くだらない･･･つまらない

恋愛結婚なんて…およしなさい・・・』





『･････っ!?』




『アヤメさん･････っ！！！』






『～ミカミさん
きっとアイルを幸せにしてくれるわ

大きなお家に住んでいて、国内にも
海外にも、いくつも別荘を持っててね

～アナタ
オシャレ好きだったでしょう？

毎シーズン
コレクションごとに…

ファッションショーなんかも
つれていってくれるわよ？』





もはや

ソウタさんの制止も一切聞かない母親




呆然とするアイル・・・。






『アイル・・・アナタ
特別取り柄もないんだから
またとないチャンスよ？

幸い…容姿は
そこそこ恵まれたでしょうに

感謝して
使える〃モノ〃は使いなさい

大学までは…出たことにしておくから
あとはお母さんに任せて

アナタは何も心配しなくて良いの
大人しく、ニコニコ笑ってればいいの。

旅行に行ったり
毎日綺麗な…好きな洋服来て
楽しく過ごす

・・・その方が幸せよ。

〃ちゃんと幸せに〃なりなさい』










〃ちゃんと・・・幸せに〃






・・・。



同じ言葉でも



同じ・・・〃親〃って存在でも




ソウタさんが


アイルに言って聞かせた事とは


まるでちがう。





似ても似つかない

〃自論〃を展開している母親。







フツーの母親・・・？



良いお母さん・・・・・？







冷酷非道も良いところだろう。






親孝行したいと言った

アイルの気持ちを踏みにじり





更には利用しようと言うのか？





この先の

将来の話を・・・報告した娘に





その娘を、自分のビジネスのために

コマのように…

機械の・・・部品みたいに





どこぞの金持ちの所に

親ほどの歳の

親よりも年上のオヤジの所に

嫁がせようなどと…




とんでもないことを言う人…。





晴れ着まで着せて

見合いの真似事にでも連れだそうと？




いつの時代のハナシだよ

自分の娘に

身売りでもさせようってのかよ。





事もあろうに・・・こんな日に。