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第32章 最高の名前
そんなアイルの様子を

チラチラと少し気にしている父親。




『ん・・・・・。

パパの会社の人のおみやげ…?
久しぶりに食べた

ん・・・変わってない味。
パパ、お礼言っておいてね…?』





『うん・・・』







『・・・え?』





『ん?・・・・・食べないのリョウキ?

・・・・・おいしいよ?』





…いや・・・そうじゃなくて…。





…ピクっと

少し眉の動いたお父さん。





あぁ・・・・・なるほど。






『クス・・・っ

〃お父さんの〃・・・だろ?・・・アイル』




『ぇ?・・・だって・・・パパ

いつも〃会社の人にもらった〃って・・・』





『~~・・・・・』






無言。

そして…

あまり表情(カオ)に

出さない人なのだろうけど




少しまばたきが多くなって

目を反らしてるお父さん



わかりにくくて

・・・わかりやすい

どこかでみた光景だ。





察するに…

おそらく仕事漬けで

娘といる時間も

ろくになかったのだろう。




そんな限られた時の中で

これを渡した時…

これを食べた時のアイルを見て



〃娘が喜ぶことを〃・・・と



この父親(ひと)の数少ない

コミュニケーション

だったんだろうな。




人からもらった…なんて言うところは

父親ならではの照れ隠しか・・・。




不器用な

父親の愛情だったのだろうな・・・。




『ふふ・・・。

〃お父さんから〃・・・・だよ、アイル』





オレは気まずそうにするお父さんを

チラッとみてから・・・一口

お菓子をほおばった。
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