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共鳴する絃
第1章 序奏
ニューヨークのマンハッタンの世界有数の名門音楽大学。練習室からさまざまな楽器の音や歌声が聴こえてくる。

一番隅の練習室から聴こえてくる澄んだバイオリンの音。
朝からずっとここで練習しているのは臼井茜。

透けるような色白にロングストレートの黒髪、清楚な水色のワンピースにカーディガンを羽織っている。茜は日本の音大を卒業後こちらの大学に昨年から留学中だ。

「あ、もう8時。そろそろ帰らないと」

10時間も練習室でバイオリンを弾き続けていた。

練習室を出ると留学生仲間でピアノ科のエリーも丁度練習を終えて帰る所だった。

「ハイ!茜 調子はどう?来月にあるコンチェルトのソリストのオーディション受ける?」

「練習はしてるけどオーデイションは自信ないなあ。エリーは?」

「私は受けようと思ってる。チャンスつかまなきゃ。」

ライバルだらけで足の引っ張りあいの中エリーとは性格が違うのに気が合ってが二人でサロンコンサートや教会のミサで演奏している。

茜は大学の近くのアパートで独り暮らし。ニューヨークの家賃はかなり高いけれど家族みんな茜がバイオリニストになるのを夢見て援助してくれているので、ニューヨークのマンハッタンでセキュリティの行き届いた部屋を借りることができた。

3才からバイオリンのレッスンを受け
ジュニアコンクールで入賞、
日本の音大を首席で卒業してアメリカの名門音楽大学に留学して少しずつバイオリニストへの道を進んでいる。

しかし留学してからバイオリンの演奏の壁にぶつかっている。世界中から優秀な音楽家達を目の当たりにして茜は自信を失っていた。

これから先の事や今練習している曲のことがぐるぐる頭を回っている。

でも練習に疲れていたので気づかないうちに眠りに落ちた。

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