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第13章 テッペイ(33)②

「ニセモノのカオリちゃ〜ん」



　風呂場から、テッペイがワタシを呼ぶ声が聞こえたわ。
　うんざりした。



「何よ」



　洗面所まで行くと、眼鏡を外したテッペイが、
　今度は洗面台の下を物色していたわ。



「歯ブラシない？」


「………。」



　ワタシは無言でリステリンを手渡してやったわ。



「え〜っ、ちゃんと歯ぁ磨きたかったのにな〜っ」



　とかブツクサ言いながら、フルチンでリステリンするテッペイは滑稽だったわ。



「タオル出しとくから…」



　バスタオルを用意するワタシに、テッペイは言ったわ。




「一緒に入ろーや」





　一瞬、思考回路が停止したわ。




「え？」





　見れば、テッペイが手招きしてるの。





「背中に手ぇ届かんから、洗ってくれやな困るねん」





　呆気に取られてモノも言えなかったわ…。