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淫の館
第3章 目覚め




…………ん…


縄が解かれて寝かされている?

目覚めても、落ちるまでの激しさに、頭がぼぅっとしていた。


ここは…どこ?

天井や壁は見慣れないものだった。

ホテルでも、もちろん自宅でもない。

和室の何もない部屋で…なのにベッドに寝かされていた。


ん…うぅっ…

ビィィィィィー

部屋の趣にはそぐわない電子ブザーの警告音が鳴り響く。

手が自由にならない。寝返りも起き上がることも出来ない。

両手を真横に伸ばした姿勢で、何かに括られていた。

ススー…

襖が滑る音がして男が入ってきた。

「何をするんですか、離してください。」

私は新しい白い着物を着せられていた。

「やっと目覚めましたか、生まれ変わった目覚めはどうですか?」

「ふざけないでください。離してください。家に帰らなきゃ。」

「世俗のことなど気にする必要はありません。貴女の貴重品はこれ以外、ご自宅に先程届けましたから…」

男が携帯をかざしていた。

「返して。」

「必要ないでしょう。鞄や衣類など、全部燃やさせて頂きました。
あれです。」


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