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銀木犀の香る寝屋であなたと
第6章 再生
「た、珠子さ、んっ、いいっ、よ、うっ、ああっ、うっくぅ」

 キッチンに手をつき、珠子は後ろから井川三郎に突き上げられている。腰をつかむ手に力が込められ「あぐっ!」と三郎は呻いて男根を引き抜き、白い珠子の尻に白濁液を放ち果てた。
 珠子は身動きせずに、三郎が柔らかいチリ紙で愛液の処理をするのを待つ。ガサガサと紙を丸め三郎は珠子のズロースをあげ、ワンピースのスカートを下ろした。

 行為の終わりを察して、珠子は身体を起こし三郎のほうへ向きを変える。乱れた髪を撫でつけながら彼は荒い息をし、ズボンにシャツを入れ整えている。

 服装を整えた後、三郎は「珈琲でも入れましょうか?」と珠子の髪を撫でながら言う。

「いえ。もう帰らなくては。家族が心配しますから」
「そう……。もっと長くいられたらいいんだが」

「すみません」
「いや、いいんです。明日もよろしく」

「はい。失礼します」


 珠子と三郎が肉体関係を結んだのは、洋食屋『イタリヤ亭』に勤めて半年のことだ。三郎は珠子よりも一回り年上で、最初は店長と女給の関係で下心など毛頭なかった。
しかし親しくなるにつれ、珠子は多少生活のことを話すようになっていった。

 三郎は珠子の健気さに、いつの間にか愛情が沸いてきてしまった。ある時キッチンで皿を洗っている珠子の後姿に我慢が出来なくなり、抱きついてしまう。親切な三郎に対して珠子は激しく抵抗が出来ない。
身を強張らせる彼女にさらに三郎は「お願いだ。お給金をあげてあげるから……」とダメ押しをする。
 最近、また成長し食欲が旺盛な吉弘のことを思った。
また来月にはキヨの定期診察がある。蓄えをなんとか減らさずにやってこれてはいるが、いつどうなるか分からない。珠子には身体を開く選択しか思いつかなかった。
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