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空蝉
第2章 あだ花



重ねてみても 逢瀬ゆえ

逢う歓びは いつのまに 時に削られ 奪われて

帰り支度を する人の

いまは、冷たき 背に縋り 泣いてみたくも 思います



恋を過せば 愛になり

重ねるはずの 年月も 所詮、ひと夜の 逢瀬ゆえ

激しく燃えて この恋は

褥のうちに 燃えつきて 朝の光に 消えまする



誘い、誘われ 気のままに 別の逢瀬を 試しても

きみは、実らぬ あだ花を 惜しんでくれる はずもなく

よごした花の 後悔を 化粧に隠し 泣きまする



逢瀬で終わる 逢瀬なら 重ねてみても 終わりなき

この苦しさを 残すだけ

ならば、この身を 焼きつくし

きみが与える 悦びの うちに、いのちを 終えましょう


繋がりあって 絡み合う 至福のうちに 散りましょう





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