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第5章 シーン　5

　そのセックスの違いは大輔に決して言えないし、悟らせてはならない。ほんの小さな違いでも大輔にとっては苦しいほどの悋気のもとになるような気がした。
　最初は風間さんの男性が大きいからと言ってセックスの快感がそんなに違うとは考えなかった。物理的な大きさよりも背徳感や妄想のなかのシチュエーションの興奮の方が大きかったせいで気がつかなかったけれど、風間さんとの関係を重ねるに従って、次第にその質の違いを体が意識するようになっていた。
　一度目は罠にかけて誘惑していると言うスリル、二度目は背徳感、だが、身体を重ねるに従って馴染んでくるように行為そのものにのめり込んだ三度目は、セックスの質そのものが違って感じた、心のどこかにあった大輔のためと言うセックスではなく、風間さんを楽しませながら自分も気持ち良くなりたいと思い、その中で二人の関係を言葉に出してしまった後のセックスは大輔の呪縛から解放されて自分だけのためのセックスだった。