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遠い日の約束。
第9章 幸せな日々の中で
強くなれの一言に、握られた手が一瞬震えた。
振り向いてみてみると、目を見開いて驚いた顔をしていた。

「俊樹…?」

何も分からない私は俊樹の名前を呼ぶことしかできない。
だけど、それだけで十分で私に微笑む返す。

「部長…もちろん大切にします。もうこの手を離すことはしません…」

部長にきっぱりと言い切る俊樹は何か吹っ切れたような顔をしていた。
ふたりの会話が良く分からなくても、部長が私たちを祝福しそれ以上に気にかけていることが伝わった。
それからは3人でお酒と美味しい食事を楽しみ時間だけが過ぎていく。
いつも以上に酒を飲む部長は時折、優しい瞳を俊樹に向けていた。
その瞳が懐かしくも感じたのは初めてだった。
いつも優しくお父さんみたいだと思うことは幾度もあった。
だけど、それとは別の、この感情が何なのか言いようのない思いが込み上げてくる。
それは決して嫌なことではない。
どちらかというと、懐かしく私たちを愛してくれる眼差しに思えた。
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