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遠い日の約束。
第9章 幸せな日々の中で

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部長と別れて、バーに足を延ばした。
ここは以前、春馬に連れてきてもらったお店。
ふたりして気に入って、何度か顔を出す様になっていた。
「いらっしゃい。」
絹子さんが声をかけて、空いているカウンターに案内してくれた。
彼女はここのマスター、翔さんの奥さまで、現在妊娠7か月。
大きなお腹をしてでもカウンター内にいるのは、少しでも翔さんの傍にいたいからなのだとか。
その微笑ましい光景が私たちは好きで常連客になった。
俊樹には秘密だけど、彼女たちは私にとって理想の夫婦だった。
将来は俊樹とこんな夫婦になりたいと思っているのは秘密事。
私と俊樹が結婚するのはまだ先の話で…いつかはと思っている。
彼も思っていてくれているといいなと思う。
部長が冗談で言ったことが現実になり、ふたり揃って報告できればいいと思う。
「体調は大丈夫ですか?」
大きなお腹で私たちのおつまみを用意してくれている絹子さんに声をかける。
「大丈夫よ。病気じゃないんだし。それに彼と一緒にいるほうがいいしね」
他の客の接待をしている翔さんを愛おしそうに見つめる表情はとても優しかった。

