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遠い日の約束。
第9章 幸せな日々の中で
元気がなくなった俊樹を私は抱きしめた。

「私がしたいからしてることだよ。もし俊樹に言われて飲みに行っても、きっと楽しくない。楽しくない飲み会に行くぐらいなら私は俊樹の傍にいたい。」

「でも、楽しみにしてたよね…」

私の胸に顔を埋めて力ない声が寂しい。

「ねぇ…私たち恋人だよ?好きな人が具合悪くて傍にいたいって思うのは変な事?…普通の事だよね。私は俊樹が大切だから傍にいたいの。弱っている時こそ傍にいたいって思う。…友達もね。分かってくれた。」

「でも…」

「私が寝こんだら、俊樹は飲みに行けるの?」

「いかない…」

この質問には間髪入れずに返事が返ってくる。

「ほらっ。それと同じ。どこが違うの?違わないよね?……こんな時は『ありがとう』って言えばいいんだよ。傍にいてくれてありがとうって」

俊樹が私の胸の中から顔を上げた。
少しウルウルとしている瞳がたまらない。
だから、私はキスをした。
ただ触れるだけのキスを。

「うつるから…ダメだよ…」

駄目だよと言いながら、また唇が重なる。

「私が寝こんだら、俊樹が看病してくれるんでしょう?」

啄むようなキスを何度も繰り返していくと止まらなくなる。

「華が欲しい…」

病み上がりだから無理はさせたくないけどウルウルした潤んだ瞳が私の正しい判断を狂わせる。
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