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遠い日の約束。
第10章 記憶の破片

───…
月曜日、身体の痛みも引き、俊樹と一緒に出勤した。
今日は駅についても俊樹は私の横を歩いてくれた。
3日間離れることなく、ずっと傍にいたのにまだ足りない私がいた。
何度も身体を合わせ愛し合っても足りなかった。
こんなことは一度もなかったのに欲しくて欲しくてたまらない。
どんなに抱かれても心が満たされることはなかった。
それは久しぶりの感覚だった。
けど、ずっと傍にいてくれるだけで私は幸せ。
横を見れば、その視線に気がついて私に微笑む俊樹の笑顔があれば私は幸せだった。
「顔に何かついてる?」
「んん…。私の隣で俊樹が笑ってるのはいいなって…」
「私も…華が傍で笑っててくれればそれでいい…」
ふたりで見つめ合って笑った。
これでいい。
これでいいんだと。
思い込もうとしている自分がいることに気がついてもいなかった。
「朝っぱらから何してんだ?」
背中をバンと叩かれて振り向くと、意地悪な顔をした春馬が立っていた。
「三宅さんには触らせませんよ。」
俊樹が私を抱きしめて威嚇する。
「誰がいるか!!それより…仕事いっぱい溜まってるぞ?日付変わる前に帰れるといいな」
にやりと意地悪な顔をして歩いていった。

