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遠い日の約束。
第10章 記憶の破片
急に金曜日に休んでしまった分だろう。
だけど、ほとんどないことは知ってる。
春馬がそんな意地悪なことする人じゃないことは知ってるから。

「三宅さん。ありがとうございます」

そう背中に声をかけると手だけを振って先に行ってしまった。
その後ろをふたりでのんびりと歩いて行く。
急がなくちゃいけないのに…私の足はゆっくりと…そして止まった。

「華?」

「うん…」

問いかけられても答えられない。
会社に行かなくちゃと思っていても足が進まない。
こんなことは初めてで動揺する。

「華…帰ろう?」

心配した声が頭の上から降ってくる。
見上げると、とても心配している俊樹の顔が私の瞳に飛び込んできた。

…また同じ顔

と、思っても、それがいつだったのか思いだせなかった。

「華…無理しないで…一緒に帰ろう?」

俊樹は、私が会社に行きたくない理由を知っているかのように言ってくれる。
それが何なのか…私は知りたくない。
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