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遠い日の約束。
第2章 動き出し運命
「大丈夫…もう怖い夢は見ないから…見させないから安心して」

呪文のように耳元でささやかれれば、本当に大丈夫だと思ってしまう。
なんでそんな風に思うのか分からなかった。
だけど、寝るのが怖い冬が、少しだけ怖くなくなった気がした。

「あっ…あり…がとう…」

小さい声で伝えると、ポンポンと頭を叩いて体を離した。

「ご飯食べようか。冷めてしまうよ」

スッと立ち上がり手を差し伸べる。
その手を躊躇しながら取ると、グッと引っ張られまた胸の中にすっぽりと納まる。
今度はそれがイヤではなかった。
その温もりが心地よいと感じ始めていた。
リビングに移動するとテーブルの上に朝食の準備がされていて驚いた。

「和食…」

鮭と卵焼きにサラダ。
そして味噌汁とご飯付きだった。
男の人で和食を準備するとは思ってもいなくて驚いていると、クスクスと笑っている声が後ろから聞こえた。

「パンよりご飯と味噌汁がいいかと思ったからね。」

ソファーに座り、「いただきます」と言って口に運んだ。
少し甘めの卵焼きは母親の味がした。

「甘い卵焼きが好きでしょう?」

「はい…母親と同じ味です。」
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