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第2章 動き出し運命

昨日の夜のおじやといい、彼が作る料理は食べることができた。
きちんと寝て食事をして、やっと普通の生活に戻れた気がした。
朝食を作ってくれたお礼に食器を片付けることにしてキッチンに立つ。
男性にしてはきれいに使ってあるキッチンだった。
私がキッチンを片付けている間に立花さんは洗濯機を回し、部屋の中を軽く掃除を始めた。
いつもやっているのか全てにおいて手際が良く、女性の私より要領が良く少し恥ずかしくなった。

「母がきれい好きだったからね。知らず知らずのうちに週末の朝一番は掃除しないと気がすまないんだよ」

私の目線に気がついた彼がそう口にした。

「立花さんはニューヨーク育ちでしたよね」

「生まれは日本だよ。私が9歳の時に父の仕事でニューヨークに。それからずっとあっちだったかな」

掃除が終わったのか、私の横に立ちコーヒーを入れ始めた。

「一度も日本に帰ることがなかったから、久しぶりの日本には驚いたよ。」

「そうなんですね。…ずっと向こうだったのに日本語上手ですね。」

コーヒーの準備ができた立花さんは洗い終わった皿を拭き始めた。
なんか新婚さんのような感覚がして少しこそばゆかった。

「日本に帰っても困らないようにとね。家では英語禁止だったんだよ。けど、外では英語オンリー。使い分けが上手くなったかな」

「羨ましいです…私、英語苦手だから」

「日本ではそうみたいだね。使える英語は教えられていない。マスターしたければ、その中に飛び込むのが一番だね。」

「はぁ…私には無理…」

「華さんは、人見知りっぽいからね。」

所々で私の事を見透かされてるような感じがした。
どうして分かってしまうのか不思議で仕方がなかった。