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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第1章 夏の華
「…君の恋人と踊っているのは、久我伯爵令嬢だな。…久我伯爵は一人娘の嘉奈子様を目の中に入れても痛くないほど可愛がっておられるから、恐らく嘉奈子様にねだれて暁様と踊れるように頼み込んだのだろう」
月城の肩を抱くように、背後から囁いたのは狭霧だ。
「…狭霧さん…」
「嫉妬していたら可哀想だな…と、教えてあげたまでだよ。…お節介だった?」
人を食ったような笑みだが、憎む気になれないのは魅力的な人柄のお陰だろう。
月城はわざとつんと澄まし返る。
「別に…。嫉妬などいたしませんよ。…暁様は男爵家のご子息です。舞踏会で若きご令嬢方と踊られることなど、貴族の義務のようなものでしょう」
「…へえ…。やっぱり愛は偉大だね。そう断言出来るなんてたいしたものだ。…よほど君は暁様に愛されているんだね」
そう囁きながら、月城に貌を近づける。
「私も愛しておりますから。…私達はお互いを信頼し合っておりますので…」
小さく、しかしはっきりと断言する。
そんな月城の貌をまじまじと見つめながら、狭霧はさもないように尋ねる。
「…ねえ、それってやっぱり身体の相性がいいの?」
「なっ…何をそんな…」
狼狽する月城に、にっこりと笑いかけ、月城の首すじを擽るように撫でる。
「いいじゃないか。大切なことさ。身体の相性が良くないと恋愛も長続きしないからね。…それも前に教えたよね…?…もう忘れた…?」
狭霧の琥珀色の瞳が冗談とも本気とも取れない艶を帯びる。
狭霧のしなやかな手を振り払おうとした時、踊る暁が怪訝そうな眼差しでこちらを見つめているのが分かった。

月城は狭霧から逃れるように、舞踏室を後にした。
廊下を歩きながら、溜息を吐く。
…狭霧さんの悪ふざけにも困ったものだ。
身体の相性…か…。

狭霧が触れた首すじが熱い。
そっと首すじに触れる。
…随分、前のことだ…。

月城は、狭霧と寝たことがある。
…まだ二十歳になったばかりの…
…そう…こんな、暑い…真夏の夜のことだった…。

今では夢だったのではないかと、月城自身が思ってしまうほど、幻想的な、儚い夢のような一夜であった…。


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