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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第10章 初月の夜も貴方と
暁の胸がちくりと痛んだ。
月城は貴族に仕える執事の中でも超一流だ。
ここ数年は執事以外にも北白川伯爵家の財産管理や株の運用など大変な仕事も任されている。
海外生活が大部分の伯爵に代わり、主な業務を取り仕切っているのは彼なのだ。

能登の田舎では月城は大変な出世頭と噂され、賛美されているに違いない。
…しかし彼は田舎に帰ることは滅多にない。
暁が知る限りでは数年前に結婚した妹の凛の婚礼に出席する為に泉と共に帰郷したのが最後だ。
月城の母親ももう高齢だ。
今はまだ元気に定食屋を切り盛りしているらしいが、本当は彼は心配なのではないだろうか…。
度々貌を見に行きたいのではないだろうか…。
或いは、いずれはこの家に引き取り面倒を見たいと思っているのではないだろうか…。

…それらのことが出来ないのは、自分がいるからではないだろうか…。
時々暁は不安になる。

帰郷すれば、必ずなぜ結婚しないのかと皆に聞かれるだろう。
…結婚相手が男だなんて、月城はとても母親や知人に紹介できないはずだ。
それで故郷にも足が遠のいているのではないだろうか…。
…自分といることで、月城はしたい親孝行もできないのではないだろうか…。
自分は月城に我慢をさせているのではないだろうか…。

暁は月城への愛情が昔よりも更に増している自分を感じる。
月城が好きで好きでたまらないのだ。
年を経るごとに彼への愛が高まり、だから彼を果たして自分が幸せにできているのかどうか…不安に駆られる時があるのだ。

…帰郷すればすぐに故郷のお雑煮を食べることができるのに…。
暁は懐かしそうな…しかしどこか諦観したような眼差しの月城を見つめて、切ない想いを抱いたのだ。


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