この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第13章 永遠の最果て
「…そんな…どうして…僕を置いて…」
言葉にならない声が弱々しく響く。
…絶対に一人にしないって…約束したのに…。
「…でも…それなら…尚更探さなくちゃ…月城を…探して…助けなくちゃ…」
稚い口調に礼也の胸はきりきりと痛む。
もがく暁を礼也はしっかりと繋ぎ止め、離さない。
「駄目だ、暁。今、お前が憲兵隊に疑われるような行動をしてみろ。月城の捨て身の行動は台無しになるのだぞ?彼の想いを無駄にするのか?」
「…嫌だ…嫌だ…いや…い…や…!兄さん…離して…」
子どものように泣きじゃくる暁を更に深く抱きしめる。
「お前に万が一のことがあったら、私はどうしたらいい?…お前を失うなど、考えられない。…月城もそうだ。
お前を守り抜く為に、彼はお前から去ったのだ。
…辛抱してくれ、暁…!ここにいてくれ…頼む!」
暁は首を振り続ける。
「…嫌だ…嫌だ…!兄さん、離して!
月城を探しに行かせて!お願いだから…!」
礼也は縋り付く暁を見つめながら心を鬼にして、冷静な声で泉を呼ぶ。

泉はすぐ様、現れた。
「泉、暁を見張っていろ。部屋とバルコニーの鍵をかけて外に出さないように」
「…旦那様…」
泉は絶句する。
暁は、信じられないように礼也を凝視する。
「兄さん!嫌だ!嫌だ…兄さん!」
追い縋る暁を泉が抱き止める。
礼也は苦渋に満ちた表情で暁を見下ろし、言い放つ。
「私を憎め。私はどれだけ憎まれても構わない。
…お前を失うことに比べたら…ずっとましだ」
そして、泉に
「暁を頼んだぞ」
と、託すと敢えて冷淡に部屋を出た。

「兄さん!兄さん!お願いだから、ここから出して!」
暁の悲痛な叫び声を振り払うように、廊下を歩く。
「礼也さん…!」
光が気遣わしげに駆け寄り、声をかけた。
礼也は光の貌を見るなり、壁に震える拳を打ち付けた。
「…酷い兄だ。…弟を監禁するなど…。だが…こうでもしなければ、暁は自分の身を犠牲にしてまでも月城を探し求めるだろう。…暁を失う訳にはいかない。月城が命に代えても守ろうとしたのだ。
…私は…憎まれてもいい…暁を死なせる訳にはいかないのだ!」
光が堪らずに礼也を抱きしめる。
「分かっていてよ。貴方は悪くないわ。暁さんもきっといつか理解して下さるわ。…月城も…きっと無事よ…無事に決まっているわ…」
二人は同じ気持ちに寄り添いながら、静かに涙を流し続けた。




/954ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ