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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第13章 永遠の最果て
礼也の部屋に入ると、人払いが行われた。
「生田、君以外は暫く誰もこの部屋に近づけるな。光さんも駄目だ」
「畏まりました」
生田は美しい所作で各々のティーカップに薫り高いダージリンを注ぎ、焼き立てのスコーンとクロテッドクリームと共に恭しく勧めた。
そして折り目正しく一礼をすると、部屋を辞した。

「飲みたまえ。…月城、随分やつれたな」
礼也はしみじみと月城の貌を見つめ、呟いた。
「ご心配をおかけして、申し訳ありませんでした」
月城は言い訳ひとつしなかった。
だが、礼也はそのことを責めはしなかった。
「…君がなぜ失踪したかは分かっている。暁に害が及ばないように…だろう。
…全く、北白川伯爵のお仕込みが良いにもほどがあるな」
敬愛する伯爵を批判する礼也を初めて見た暁は思わず目を見開いた。
「…兄さん…」
「君は執事としては完璧だ。忠誠心に厚く、自己犠牲心も強い。
…だが、配偶者としてはどうかな。
…少しは残された伴侶の身にもなり給え。
暁は君が居なくなって、心身のバランスを崩しかけていたのだ。
私はもう少しで暁をフランスに渡らせるところだったのだぞ」
「礼也様…!」
焦る表情をした月城を見て、礼也はにやりと笑った。
それはいつもの余裕に満ちた魅力的な笑みであった。
「…暁の理想の夫となるべく、これからも研鑽を積み給え。暁と共に…な」
月城は胸に迫る思いに、声を震わせる。
「礼也様、私は仰る通り、未熟で足りないところばかりの人間です。…けれど、もう迷いはしません。
暁様と死ぬまで離れません。暁様と共に闘い、生き抜くことを決めたのです」
「月城…!僕も同じ気持ちだよ。僕たちは死ぬまで一緒だ!」
隣に座る暁が月城を美しい潤んだ瞳で見上げる。
「暁様…!」
月城がその手を黙って握りしめた。

礼也は暫く二人を見つめていたが、やがて肩を竦め、
「…暁を本当に君に取られてしまったのは寂しいが…。
だが私はその言葉を待っていたのだ。
君も漸く腹を括れたようだな」
「礼也様…?」
礼也は優雅な仕草でお茶を飲み干すと、表情を引き締めた。
「…君の秘密を話してくれ。その為に人払いしたのだ」






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