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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第13章 永遠の最果て
「暁様!心配しておりました!どちらに行かれてしまったのかと…!
…おお…月城様も、ご無事で!」
松濤の縣邸の玄関で暁と月城を迎えた執事の生田は、感激に声を詰まらせた。
「生田…心配掛けてごめんね…」
暁は素直に詫びる。
春からの手紙を受け取り、誰にも何も告げずにそのまま屋敷を飛び出してしまったのだ。
普段冷静沈着な生田が涙を滲ませるくらいだ…。
どれだけ心配を掛けたのだろうか…と、胸が痛む。

「さあ、お入り下さい。旦那様も昨夜から一晩中お寝みにならずに暁様のお帰りをお待ちになっていたのですよ」

玄関ホールに入った途端、大階段の上から威厳に満ちた低い美声が響き渡った。
「暁…!」
「兄さん…!」
礼也は珍しく青いストライプのシャツのみに黒いスラックス姿であった。
ネクタイも締めずに、いつもはきちんと撫で付けられている髪もやや乱れて額に落ちている。

礼也は暁を認めると、深く息を吐き、早足に大階段を駆け下りる。
大理石の玄関ホールを進み、暁の前に立つと強く抱き寄せた。
「暁!無事だったか…!良かった!」
兄のこんなにも切羽詰まった声を聞くのは初めてだった。
「兄さん…ごめんなさい…!心配を掛けて…」
礼也は暁の声を聞くと少し安堵したかのように腕を緩め、両手で暁の貌を包み込んだ。
「…どこも怪我などしてはいないか?体調は?大丈夫か?」
まるで幼子の心配をするような兄に、安心させるように笑って頷く。
「大丈夫です。…兄さん、月城に会えました。月城が戻って来てくれました」

礼也は隣の月城に目を移し、再び深く息を吐いた。
「月城…!君はどこにいたんだ⁈
私も…皆も…どれだけ心配したことか…!」
厳しい言葉は、そこまでだった。
「良かった!君が無事で…本当に良かった!」
月城の肩に置いた礼也の手は、僅かに震えていた。
礼也は片手で貌を覆うと、暫し黙り込んだ。
「礼也様…。ご心配をおかけして、申し訳ありませんでした」
頭を下げる月城に、くぐもった声で答える。
「…君は私の義弟なのだ。私たちは家族なのだぞ。
少しは頼ってくれ。相談くらいしてくれ。
一人で悩み、解決しようとするな。君の問題は私の問題でもあるのだ」
「…礼也様…!」
思いもよらぬ礼也の熱の篭った言葉に、月城は言葉を詰まらせた。
礼也は月城の肩を慰撫するように叩く。
「私の居間へ…。熱いお茶を運ばせよう」




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