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第11章 シーン　11

『縛られた状態では御客様がそれを望んでも抵抗することはできませんが基本的にＮＧです。射精に至るオプションは各種ありますので、充分に満足いただけると思います。』
　都合の良い回答だ。縛られた状態だから抵抗できないけれど基本はＮＧです。駄目だと言っていながらそれを止める術はありませんと言って相手の意思に任せる。結果の責任だけは取れと言う裏がありながら、相手にはひょっとしたらオーケーと言ってるのではないかと言う錯覚が生じる余地を残した答え。それにどう応えてくるか興味があったけれど、浅田部長はそれ以上この話題に突っ込んではこなかった。
　結局浅田部長は一時間三万円の提示に対して三時間の予約を望んだ。実行は今週の金曜日の夜、美奈も高原もいない二人だけでのプレーが約束されてメールの応酬は終わりを告げた。
「終わったのか？」
　大輔の問いにあたしは頷いた。
「三時間のプレイをお申込み頂いたわよ。」