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 奴隷メイドオークション ~正しいメイドの育て方~
第3章  お披露目の練習


ーー 第3章  お披露目の練習 ーー


「美桜、大丈夫?」
 ドア越しの愛さんの声に、私は涙を拭う。
「入るね?」
 私がベッドに座ったまま俯いていると、愛さんは隣に座った。
「最初は、私も毎日泣いてた……」
 愛さんが、髪を撫でてくれる。
「仕方ないの。慣れるしかない。家族の為に」
 それは私も解ろうとしている。でも、頭では理解出来ても、心が付いてきてくれない。こうやって15年も毎日辱めを受けて暮らすんだろうか。
 でも愛さんの言う通り、家族の為を考えれば我慢するしかない。ここで私が逃げられたとしても、家族へ渡されたお金は多分没収されてしまうだろう。
「個室にいる時だけは、自由だから。あ、取り敢えず、冷蔵庫に飲み物が入ってるからね。後はまた今度教えるから」
 私は、目を合わせずに頷いた。
「ご主人様達への配膳は、7時と12時と18時。その前には、厨房に来て。片付け後に清掃が少しあるけど、後はご主人様から指示がなければ、個室にいていいからね」
 愛さんが優しく、安心するような声で語りかける。
「お化粧はしないか薄目。髪は結ばないのが基本。奈々だけは、ご主人様の意向でツインテールだけど。月に一度、美容師が来て、髪を切ったり出来るけど、ご主人様の意向に合わせなくちゃいけないの」
 愛さんから、その旨を書いたメモを受け取った。
 何でも、ご主人様の意向。
 私は溜息をついた。
「でも、買った時に気に入られたんだから、大幅に変えることはないけどね」
 ご主人様の前では喜んだりしていても、愛さんだってつらいはずだ。愛さんだけじゃなく、他のメイドも。自分だけじゃないと考えて、私は滲んできた涙を手の甲で拭う。
「まだ片付けがあるから戻るね。美桜は、もう休んでて。みんな解ってるから、大丈夫。あっ。メイドの食事は、10時と15時と21時に届くからね」
 その言葉に甘えることにして、愛さんを見送ってから着替え始めた。
 二―ソックスとガーターを外し、メイド服も脱ぐ。それだけでも楽になれた。
 シャワーを浴びてから用意されていたパジャマを着て、ベッドに転がる。
 まだ20時だったけど、私はそのまま眠ってしまった。


「美桜、時間よ!」
 ノックと愛さんの声で目が覚める。
 夢じゃなかった……。
 私は、体を起こして溜息をつく。
 悪い夢を見ただけなら、良かったのに……。


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