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 奴隷メイドオークション ~正しいメイドの育て方~
第7章  オシオキ


ーー 第7章  オシオキ ーー


「おはようございます!」
 早く起きた私は身支度を整え、個室を出て来た愛さんにお辞儀をする。
「おはよう、美桜。昨夜はちゃんと寝た?」
 愛さんが、何事も無かったように言う。
「はい」
 大して眠っていないけど、わざと元気よく答えた。私も、昨夜の事なんて無かったように。その方が、お互い普通に会話が出来る。
「あ、おはようございますー!」
「おはようございますぅ」
 亜里沙ちゃんに続いて奈々ちゃん。梨香さんも個室から出てきて、全員で厨房へと向かう。
「奈々ぁ、ちょっと寝坊しちゃってぇ。愛さん、後で髪、結び直してくださぁい」
 愛さんが笑いながら頷く。
「そうね。それじゃあ、配膳の前に直さないとね」
 確かに奈々ちゃんのツインテールは変な方向に曲がっているけど、まだ13歳の奈々ちゃんが毎朝自分でやるのは大変だろう。いつもは綺麗に出来ているのが凄い。
「クシ、ちゃんと持って来ましたからぁ」
 奈々ちゃんが手に持ったクシを見せると、みんなが笑う。
 普通の女の子の集まりのよう。
 こういった時間は楽しいと思える。他愛無い会話で笑い合うのは、穏やかだった学生時代に戻ったみたい。楽しさの裏に少しだけ切なさも感じる。
 お喋りをしながら広い廊下に出ると、途中の壁に寄り掛かっていたのは私のご主人様。
 足下には鉄製の赤い工具箱が置いてあった。
 ご主人様がこの廊下にいるだけでドキリとしてしまい、また昨夜の事が蘇りそうになる。
「やあ、みんな。おはよう。朝から楽しそうだね?」
 ご主人様は笑顔。
「おはようございます。ご主人様」
 立ち止まり、5人でお辞儀しながら言う。
 ご主人様の顔を間近で見ると、さすがに昨夜の事を思い出してしまう。今でも、愛さんが悦がる姿が忘れられない。私は頭を振りそうになるのを抑えた。
「美桜。ちょっと一緒に来てくれる? 愛、僕の食事は誰か適当に運んでおいて。戻らなければ、下げていいから」
 ドキリと、大きく鼓動が鳴る。
 まだ朝食前なのに、何の用があるんだろう。
 私は、ご主人様に腕を掴まれた。
「はい。承知致しました……」
 お辞儀をした愛さんが、一度私を見つめてからみんなと厨房へ向かう。


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